「M-1グランプリ」「キングオブコント」「R-1グランプリ」など、全国放送規模のお笑い賞レースは数々ありますが、関西・関東圏主催のお笑い賞レースも年々熱を帯び始めています。TverやAbemaなどでの、ネット上での同時放送がされるなど、放送圏に捉われることなく、メディアで取り上げられるようになったからではないかと考えられています。
今回はそんな賞レースの一つ、第44回ABCお笑いグランプリの決勝進出者が6月22日に発表されました。その決勝進出者各組について簡単にまとめたいと思います。
ABCお笑いグランプリとは
ABCお笑いグランプリは、関西局の朝日放送(ABC)が主催するお笑いコンテストで、2011年までは関西を中心に活動する結成5年以内のコンビを対象に『ABCお笑い新人グランプリ』として開催されていました。
2012年より現大会名となり、デビュー10年以内の全国で活動する芸人へと門戸がひらかれており、かまいたち、ジャルジャル、霜降り明星、オズワルドらが優勝を飾るなどし、若手の登竜門として知られるようになりました。
昨年の優勝者は、吉本興業大阪所属のコンビ「カベポスター」でした。ボケ・永見さんとツッコミ・浜田さんからなるこのコンビは、その後「M-1グランプリ2022」でも決勝進出、また今年に入り関西圏を中心に「探偵!ナイトスクープ(永見さんのみ)」「おはよう朝日です」など、各TVレギュラーも一気に増加しブレイクの期待が高まっています。
決勝進出者の紹介
決勝戦ではA/B/Cブロックに分けたトーナメントが行われます。
関西局のABCテレビ主催の大会ながら、今年は関東をメインに活動する芸人の決勝進出者が多く、かつてない東京勢の躍動が見られます。一方で、大阪拠点のお笑いコンビ3組にも奮起を期待したいところです。
ピン「こたけ正義感」(ワタナベエンターテインメント)
現役弁護士芸人という異色のピン芸人として知られ、2022年のR-1グランプリファイナリスト(敗者復活)、昨年のABCお笑いグランプリでは最終3組に残り準優勝と、賞レースの実績も近年になり勢いづいてきています。
自身の弁護士の経歴を生かした、法律のおかしな所を笑いに変えるフリップ芸がネタの特徴です。
コンビ「天才ピアニスト」(吉本興業大阪)
ボケ・ますみさん、ツッコミ・竹内さんからなるコンビ。
昨年のABCお笑いグランプリも決勝進出。2022年の女性芸人No1決定戦「THE W」優勝。
漫才・コントともに豊富なネタ数があり、ますみさんのおばちゃんキャラを生かしたネタが多いのが特徴。今大会の決勝進出者の中では最も大きな賞レースを優勝したチャンプとして今大会も制覇に臨みます。
コンビ「素敵じゃないか」(吉本興業東京)
ツッコミ・吉野晋右さん、ボケ・柏木成彦さん。二人は生年月日が一緒とのことです。
NSC卒業とともに東京へ進出し(当時は「バニラボックス」のコンビ名で活動)、結成当初から漫才の独特な切り口と、軽妙なテンポの良さで評価されていました。
現在は神保町よしもと漫才劇場で活動を続けています。
コンビ「サスペンダーズ」(マセキ芸能社)
ツッコミ・依藤たかゆきさん、ボケ・古川彰悟さん。早稲田大学のお笑いサークル・早稲田寄席演芸研究会の同期で結成。
古川さん扮する気弱で自意識過剰な人物が考えすぎるあまり混乱してゆくコントなど、二人の性格を生かしたコントが特徴です。
2022年には、第42回優勝のオズワルドも優勝した「マイナビ Laughter Night」の第8代グランドチャンピオンを獲得しています。
ユニット「ダウ90000」(YOU GO sign)
蓮見翔さん・吉原怜那さん・園田祥太さん・飯原僚也さん・上原佑太さん・道上珠妃さん・中島百依子さん・忽那文香さんの8人で構成されたコントユニット。昨年のABCお笑いグランプリも決勝進出しています。
多人数を生かしたコントの構成力は随一で、単独ライブは毎回即完売、劇場人気は抜群とされています。現在、テレビ朝日の『バラバラ大作戦』(月曜第3部)でも冠番組『週刊ダウ通信』が放送されるほどの人気です。
コンビ「令和ロマン」(吉本興業東京)
ボケ・高比良くるまさん、ツッコミ・松井ケムリさんからなる漫才コンビ。2022年「第7回NHK新人お笑い大賞」優勝。2022年「M-1グランプリ」準決勝進出。昨年のABCお笑いグランプリでは最終3組に残り準優勝(Abema賞受賞)と賞レースの実績は十分。
神保町よしもと漫才劇場で活動中。世間のトレンドを取り入れるネタにもめっぽう強く、テンポの良いコントイン漫才が特徴です。
コンビ「ハイツ友の会」(吉本興業大阪)
清水香奈芽さん、西野さんからなるコンビ。よしもと漫才劇場で活動中です。
京都弁を用いた、世間のあらゆる疑問やシチュエーションにツッコミを入れながら展開する、ローテンションな語り口の漫才やコントが特徴です。
関西の中では珍しいローテンポな芸風ながら、2022年「M-1グランプリ」準決勝進出、2021年「第8回NHK新人お笑い大賞」準優勝と、若手女性コンビの中でも着実に賞レースで結果を残しています。
ピン「友田オレ」(GATE)
早稲田大学4年生の現役大学生芸人。大学生の芸人が決勝に残るのは史上初です。
所属する「GATE」は設立2020年の歴史の浅い事務所であり、他の所属タレントはハリセンボンの近藤春菜さん(吉本との専属エージェント契約)やベッキーさん。
2022年、TBSのネタ番組『あらびき団 2夜連続!真夏の最強パフォーマー決定戦』に出演。他の進出者と比べて芸歴・賞レース実績が共に浅いですが、歌ネタ・フリップネタなど豊富な種類のネタにはセンスを感じると評価の声が多く、今大会一番のダークホースかもしれません。
コンビ「ダブルヒガシ」(吉本興業大阪)
ボケ・大東翔生さん、ツッコミ・東良介さんのコンビ。
現在はよしもと漫才劇場で活動中です。大阪府立東住吉総合高等学校の同級生で、互いに仲が良いことでも知られ、ヤンチャで息の合った漫才が劇場でも人気です。ネタによってはWボケのような構成の漫才もするなど、多様なネタも魅力です。
2023年「第12回ytv漫才新人賞決定戦」優勝。大東さんは霜降り明星・粗品さん率いる「ギャンブル4兄弟」の末っ子としても知られています。
トリオ「オフローズ」(吉本興業東京)
カンノコレクションさん、宮崎駿介さん、明賀愛貴さんのトリオ。
「NSC大ライブOSAKA2016」で優勝を果たし、大阪NSCを首席で卒業。現在は東京に活動拠点を移し活動しています。
主にコントを中心に展開しており、「キングオブコント2020」では最年少および最短芸歴で準決勝進出。また、漫才でも2022年「M-1グランプリ」では準々決勝に進出しています。
コンビ「ストレッチーズ」(太田プロダクション)
ボケ・福島敏貴さん、ツッコミ・高木貫太さんからなるコンビ。
2022年「M-1グランプリ」準決勝進出、2022年「第3回ツギクル芸人グランプリ」優勝。
埼玉県立浦和高等学校のバスケ部の同級生で、大学の思い出として文化祭でのお試しのつもりで結成し、「大学生M-1グランプリ2012」を優勝した経歴があります。
二人の会話の掛け合いのしゃべくり漫才の他、福島さんが奇抜なキャラを演じてそれに高木さんがツッコむコント漫才も行っています。
コンビ「ヨネダ2000」(吉本興業東京)
ボケ・誠さん、ツッコミ・愛さんのコンビ。現在は神保町よしもと漫才劇場で活動中です。
賞レースでは、2022年「M-1グランプリ」ファイナリスト、2022年女性芸人No1決定戦「THE W」準優勝、2022年「キングオブコント」準決勝進出、2022年「R-1グランプリ」準決勝進出(誠さん)、2023年「第8回上方漫才協会大賞」新人賞受賞という、2022~23年にかけて賞レースでは驚異的な成績を残しています。
様々なフレーズを用いた独特なリズム漫才や、大道具を生かしたインパクトの強いコントが特徴です。今回の大会でもどんなサプライズを仕掛けるのか注目されます。
以上、第44回ABCお笑いグランプリの決勝進出者の紹介でした。どの芸人も個性的で魅力的なネタを持っていますが、果たして優勝するのは誰なのでしょうか。
決勝戦は2023年7月9日(日)にABCテレビで生放送されます。
また、AbemaTVでも同時配信されます。どちらも無料で視聴できるので、お笑いファンはぜひチェックを。
お笑い界の未来を担う若手芸人たちの熱い戦いにご期待しましょう!
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