M-1グランプリ2023、決勝進出者決定!
もはや日本の年末の風物詩となったM-1グランプリ。今年2023年大会のファイナリストを決める準決勝が12月7日に行われ、そこから9組の漫才師が見事決勝にコマを進めました。
昨年の優勝者は、タイタン所属のウエストランド。井口さんの怒涛の毒舌と河本さんのロートーンなツッコミが炸裂した漫才で優勝を果たした二人は、チャンピオンとして今年のM-1グランプリのポスターに起用されています。
今年のM-1グランプリのキャッチコピーは「爆笑が、爆発する。」。
漫才師のカッコよさを際立たせることでおなじみのM-1のプロモーションは、お笑いファンの熱狂をここから一気に煽ります。果たして、今大会を優勝し、来年からの主役に躍り出る漫才師はどのコンビなのでしょうか。
今大会ファイナリストの特徴
吉本興業から6組、他の事務所から3組が決勝に進出していますが、現在東京拠点で活動している漫才師は7組、大阪拠点で活動している漫才師は2組と、東京拠点の漫才師の比率の高さが目立っています。
厳密にいうと、マユリカは今年上京したばかり、またヤーレンズも元々デビューは大阪吉本ですので、出身でいうと異なるところもありますが、なんばグランド花月開催のの大阪予選で爆笑をかっさらったコンビが準決勝でかなり苦戦していた印象があったのは否めません。
ここ数年のファイナリストも関東勢の躍進が続いています。特に今年の準決勝時点では、大阪のよしもと漫才劇場所属のコンビは31組中12組と準決勝進出者の中でも多数を占めていたのですが、準決勝ならではの独特の雰囲気は関東勢に分があったのではないかとも感じられます。
決勝進出者の名前・プロフィール
今回は、見事決勝進出を決めた9組のファイナリストを、3回戦(祇園・東京)、準々決勝・準決勝(配信すべて)を見た筆者の所感を含めて紹介したいと思います。(ネタバレはなし。)
マユリカ(吉本興業)
2011年に結成、今年よしもと漫才劇場から上京し、現在はヨシモト∞ホールに出演しています。3歳からの幼なじみ同士の、ツッコミ担当の中谷さんと、ボケ・ネタ作り担当の阪本さんからなる双方キャラの立った漫才でファンも急増中。過去準決勝は3回進出と、決勝進出の期待も高く評価され続けており、今回満を持しての決勝進出となりました。
準決勝のネタはマユリカならではのワードセンスと中谷さんの金切り声ツッコミ、阪本さんのキモさが全て際立った漫才でメンバー上位のウケを得た印象。
ポッドキャスト「マユリカのうなげろりん!!」や、MBSラジオの「MBSヤングタウンNEXT」などのラジオ番組の人気や、メディアでの露出が増えており、2人のキャラクターも認知されつつありますので、決勝も上位を望めると思われます。
ヤーレンズ(ケイダッシュステージ)
ボケ・ネタ作り担当の楢原真樹さんと、ツッコミ担当の出井隼之介さんからなるコンビです。元々は大阪吉本でデビューした二人ですが、当時から関西弁を使わずに漫才を続けてきました。2015年からは計6回準々決勝敗退、2022年には初めて準決勝に進出。今年は念願の初決勝となりました。
楢原さんの陽気で茶目っ気あるボケに対して出井さんが往なすツッコミが特徴ですが、その小気味良いテンポは今回のファイナリストでもピカイチ。準決勝でも漫才中に散りばめられた小ボケで笑いが止まずに4分間続いていた印象です。あと、楢原さんのボケに対する出井さんのツッコミの所作が個人的に好きです。そこも注目すべきポイントだと思います。
令和ロマン(吉本興業)
ボケ担当の髙比良くるまさんと、ツッコミ担当の松井ケムリさんからなるコンビです。2人は慶應義塾大学のお笑いサークルで出会い、2018年にNSC主席卒業、2020年にはNHK新人お笑い大賞で大賞受賞、ABCお笑いグランプリでは2年連続準優勝。昨年の敗者復活戦では強豪漫才師を抑え国民投票2位と大健闘。その実績からエリート漫才師とも言われる二人は、SNS中心にファンも一際増えている漫才師です。
準決勝でも、舞台全体を使ったコント漫才で技術の高さを示し、順当といえる爆笑を生んでいました。実力的にも今年来るだろうなと思っていたので個人的には納得の決勝進出です。決勝進出者発表時の反応も、初決勝と思えないほどの落ち着き様に反響があり、既に決勝の戦略は十分に練っているのだろうと思います。
真空ジェシカ(人力舎)
M-1グランプリ2021・2022で決勝進出を果たし、3年連続の決勝進出となったコンビ。風格さえも感じられるようになった川北さんとガクさんの二人は、当初から独自路線の尖ったボケを中心とした漫才を続けていますが、年々洗練されているのが真空ジェシカの凄いところ。
準決勝でもその路線はブレていませんでしたが、世代問わず理解されやすそうな題材にしたことでより川北さんのボケのワードのウケ方の強さが目立っており、それに対するガクさんの全ツッコミも観客にはまっていたように思われました。
決勝記者会見の川北さんのかかりすぎてる尖り方は毎年不安になりますが、それも風物詩と思っておきましょう。今年こそ念願の優勝となるでしょうか。
さや香(吉本興業)
新山さんと石井さんの二人で2014年に結成し、よしもと漫才劇場で活動中。2017年にM-1グランプリで決勝進出、2022年にはM-1グランプリで準優勝。昨年の決勝で披露した「免許返納」の漫才は大きく話題になり、Youtubeでは優勝したウエストランドの漫才の再生数を上回るほどの反響を得ました。
それ故に今年は優勝候補筆頭との評判も高く、ハードルも上がっている状況であったとは思いますが、準々決勝・準決勝ともに文句なしの爆笑をさらっていたのが圧巻でした。「この漫才スタイルでまだ強いネタがあったのか」と凄みを感じるほど。
準決勝で苦戦した大阪吉本勢の中でも頭一つ突き抜けた実力で、今年の決勝も盛り上げてくれるのではないでしょうか。
カベポスター(吉本興業)
昨年のM-1グランプリでは「草食系ロジカル」と称され、8位という結果にはなりましたが、その後の第58回上方漫才大賞では新人賞を受賞し、今や関西では実力上位の若手漫才師と期待を寄せられるコンビとして支持されています。
準決勝では今年も台本の面白さが際立ち、強豪ぞろいのDブロックの中でも大きい笑いをつかんでいました。さや香と同じく、苦戦した大阪勢の中でも決勝経験者としての風格を感じられた印象。
一方で、昨年はトップバッターとなった出番順、また審査員の山田邦子さんの点数が84点と低かったことは悔いの残ったポイント。特に山田邦子さんの点数については随所でネタにしてきた部分ですが、リベンジを果たしたい思いはひとしおでしょう。マヂカルラブリー×上沼恵美子、ニューヨーク×松本人志に次ぐ、リベンジ構図にも注目が集まるでしょうね。
モグライダー(マセキ芸能社)
2021年にM-1グランプリで初めて決勝進出を果たしたモグライダー。それを機にメディア露出も増加し、現在では「ジョンソン」などの番組レギュラーを持つ売れっ子となった二人ですが、その経験を経たゆえか、ともしげさんのできないボケに対する芝さんのツッコミが今年は特にパワーアップした印象。
2021年の決勝で披露した「さそり座の女」の歌ネタも評判を呼びましたが、準決勝でもともしげさんのボケと芝さんの対応力が際立つツッコミが大きくはまった漫才で観客を沸かしていました。初出場時にはトップバッター史上最高得点である637点を記録しているので、出順次第では昨年を優に超える得点を叩き出し上位に躍り出るかもしれません。
くらげ(吉本興業)
ヨシモト∞ホール所属の芸人からは2組が選ばれ、そのうちの1組がボケ担当の杉昇さんと、ツッコミ担当の渡辺翔太さんからなるくらげ。2018年に結成した二人は結成わずか1年で2019年にM-1グランプリで準決勝進出を果たし注目を浴びました。その後は準決勝以上には進めずにいましたが、今回念願の初決勝進出を果たしています。
くらげの漫才の特徴は、システムの構築されたボケとツッコミ。しかも1パターンではなく様々なバリエーションのシステム漫才をネタとして持っていることです。2019年の敗者復活戦で披露した「わかんねぇけど」はくらげの代表作ですが、その頃よりも更にネタ数を増やし、様々な漫才を舞台で磨いてきました。
準決勝のネタは、以前観に行ったライブ「初舞台選手権」で観たネタでした。その際も学生や若い女性メインであった客層にボケが大いに刺さっており、爆笑を生んでいました。ビジュアルからは想像もつかないほどにテクニカルな漫才は、M-1決勝の舞台でも大きく生きてくるはずです。
ダンビラムーチョ(吉本興業)
ヨシモト∞ホールからはもう1組、ボケ担当の大原優一さんと、ツッコミ担当の原田フニャオさんからなるダンビラムーチョが初の決勝進出。2011年に結成し、ヨシモト∞ホールなどの舞台のほか、Youtubeでも「高校野球あるある」が人気の登録者数約15万人のチャンネルを持ち、地元山梨でレギュラー番組を持つなど活動の幅を広げている二人。昨年の敗者復活戦では森山直太朗さんの曲「生きとし生ける物へ」でしりとりをするネタで強烈なインパクトを残しました。
歌ネタ漫才がネタの主流である二人は、準決勝でも耳に残って仕方ないボケが連続するネタで観客を沸かしました。正統派漫才が多い今回のファイナリストの中でも、飛び道具的な要素を持つ二人のネタがM-1の舞台でどう映えるかに注目です。
まとめ
以上、M-1グランプリ2023の決勝進出者9組の紹介でした。どの漫才師も個性的で魅力的なメンバーが揃っており、今から24日が楽しみですね。決勝戦は、12月24日にテレビ朝日系列で放送されます。どの漫才師が優勝するのか、皆さんも期待して応援しましょう。お笑いの祭典をお見逃しなく!
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